グルテンフリーは、健康のためだけじゃない

水曜日は、グルテンフリーのパンだけを焼く日にしています。

その日にお店に立っていると、思っていたのとは違うことに気づきます。グルテンフリーのパンを買いに来られるのは、体質で小麦を避けている方ばかりではありません。

いちばん多いのはご年配のお客さまです。そしてその方たちがおっしゃるのはだいたい同じ言葉です。

「お米の味がして好きやわ」

健康のためではなく、ただその味が好きだから選んでおられます。今日はそのあたりの話をさせてください。

グルテンフリーとは何を抜くことなのか

まず言葉の意味からです。

グルテンフリーとは、小麦・大麦・ライ麦を使わないということです。グルテンは、小麦のたんぱく質が水と結びついてできる網目のこと。大麦やライ麦にも、よく似たたんぱく質が入っています。

グルテンそのものについては、グルテンって、そもそも何なんだろうに詳しく書きました。

では代わりに何で作るのか。米粉、大豆やひよこ豆、いも、雑穀。そういったものです。えぷりーずの水曜日のパンも、米粉が中心です。

ひよこ豆で焼いたパンの話はグルテンフリーひよこ豆パンに書きました。

つまりグルテンフリーとは、何かを我慢するものではなく、粉を入れかえたものです。ここが、いちばん誤解されているところかもしれません。

日本にはもともと米の粉の食べものがある

「グルテンフリー」は横文字なので海外から来た新しいもののように聞こえます。でも中身を見てみると少し違います。

日本の台所にはずっと米の粉がありました。上新粉、白玉粉、もち粉。

団子、すあま、外郎(ういろう)、白玉、せんべい。どれも米の粉から作られたものです。お正月のお餅も、もとは米です。

パンという形になったのが新しいだけで、米の粉そのものは日本人がずっと使ってきた粉なんです。

グルテンフリーのパンは新しいようでいて、いちばん馴染みのある粉でできている。そう思うと少し見え方が変わりませんか。

お餅の延長で選んでいる人がいる

ここからが、お店に立っていて気づいたことです。

グルテンフリーのパンを毎週買ってくださるご年配のお客さまが何人もおられます。その方たちは体質のためでも、流行のためでもありません。

お米で育ってきた世代の方にとって、米粉のパンは「知っている味」なんです。

もちもちしていて噛むと甘みが出る。お餅やごはんの延長線上にある食べものとして、すんなり手が伸びる。小麦のパンよりも、そちらのほうが体になじむと感じておられるのだと思います。

グルテンフリーというと、どうしても健康の話ばかりになります。でも好きだから選ぶという理由の方も確実にいらっしゃいます。長く続くのはたいていそういう選び方です。

小麦を食べると調子が出ないという方

もちろん体のことで小麦を避けておられる方もいます。「小麦をやめたら楽になった」とおっしゃる方に私も何人もお会いしてきました。

ただ、原因がグルテンだとは限らない場合もあります。

パンには小麦以外のものもたくさん入っています。発酵の時間の長さでも生地の状態は変わります。油の種類や加工でんぷんが使われていることもあります。

そのあたりは別の記事に分けて書きました。

小麦をやめてしまう前に読んでみてください。本当の原因に気づけたと思えるかもしれません。

セリアック病という病気のこと

最後に医学的に必要な方の話です。

セリアック病は、グルテンによって小腸が傷ついてしまう病気です。この場合、グルテンを避けることは好みの問題ではなく、治療の一部になります。

有病率は欧米で約1%。日本では約0.19%という報告があります(島根県で成人2,055人を対象にした調査)。日本では少ないほうですが、いないわけではありません。

診断をするのは、お医者さんです。気になる方は、自己判断で小麦をやめる前に、一度受診されることをおすすめします。小麦をやめてから検査をすると正しい結果が出にくくなると言われているからです。

※えぷりーずのグルテンフリーパンは、小麦を焼く厨房と同じ場所で焼いています。日を分けて粉が混ざらないようにしていますが、微量の粉が残る可能性はゼロではありません。医師からセリアック病と診断されている方は、お控えください。

水曜日だけグルテンフリーを焼いています

えぷりーずでは、水曜日だけグルテンフリーのパンを焼きます。木・金・土は小麦とライ麦のパンです。日を完全に分けているのは、粉が混ざらないようにするためです。

詳しくは水曜日は、グルテンフリーのパンだけを焼いていますに書きました。

通販でもお届けしています。焼いたその日のうちに冷凍してお送りします。

健康のためでも、体質のためでも、ただ好きな味だからでも。理由はどれでもいいと思っています。

自分がおいしいと思うものを知ったうえで選べたらそれがいちばんです。

今日もパンを焼いています。

SUBHEADING

Blog posts