にんにくを、何にも漬けずに発酵させる

京都・宇治市木幡の自家製酵母パン屋えぷりーずです。パンを焼くほかに発酵の教室をしています。

その中に発酵にんにくの教室があります。長く続けていて毎年同じ方が作りに来てくださいます。

何に漬けるんですかとよく聞かれます

麹ですか。味噌ですか。酒粕ですか。はちみつですか。

——何にも漬けません。

にんにくを乳酸発酵させます。黒にんにくでもありません。だから「発酵にんにく」と聞いて思い浮かべるものとはたぶん違うと思います。

にんにくは食べたいけれど強すぎる

にんにくは昔から「力の出るもの」として食べられてきました。エジプトでピラミッドを作る人たちに配られていたと言われていますし、日本でも長いあいだ精のつくものとして扱われています。

教室に来られている方には力仕事の方や、汗をかく仕事のご家族の方もいます。大工さんのご主人が「夏はこれを、そのまま一粒かじってます」と言われたことがありました。それくらい、そのまま食べても強すぎないということです。

私自身、年を重ねるほど、こういう昔から食べられてきたものを台所に置いておきたくなりました。

ただ毎日食べたいと思っても強すぎて食べられない。翌日の匂いが気になって手が出ない。そういう方も多いと思います。

発酵にんにくは、その心配が少ないです。

発酵させると角が取れる

見た目はそんなに変わりません。味は熟成してくるにつれて変わってきますが、劇的に別のものになるわけではありません。

にんにくの匂いと辛味が少しマイルドになる、そういう変わり方です。

角が取れてうまみが出てくる感じ、と言うのが一番近いかもしれません。生のにんにくのような強すぎるきつさがありません。だからといって、力のない食べものになるわけでもない。

なぜマイルドになるのか。理由があります。

生のにんにくは、切ったりつぶしたりすると、酵素が働いてアリシンという成分ができます。あの鼻に抜けるきつさと匂いの正体は、これです。

乳酸発酵で酸性になると、その酵素の働きが落ちます。だから、刺激の強い形になりにくい。

成分が減ってしまう、という話ではありません。にんにくの中身は無くなるのではなく形が変わります。刺激の側に行かずに旨みやほかの成分のほうへ回っていく。

だからきつさだけが抜けて力は残ります。

にんにくを食べると胸焼けするという方が「これなら大丈夫だから」とずっと作りに来てくださっています。

生にんにくの代わりに使えます

いちばんいいのは特別な使い方を覚えなくていいところです。

  • スライスして炒め物に
  • すりおろしてカレーに
  • そのまま一粒

カレーにすりおろして入れると奥行きのあるコクが出ます。それなのに強すぎる匂いは出ません。ソースを作るときも同じです。

作って2週間後から使えます。そして、ちゃんと発酵していれば1年、常温で使い続けられます。

一年分をまとめて作っておけるので、冷蔵庫の隅でにんにくが干からびていたということがなくなります。これは地味ですが毎日料理をする人にはうれしいところだと思います。

私も、何年も使い続けています。

黒にんにくとは食べ方が違います

黒にんにくにも、発酵にんにくにも、S-アリルシステインという同じ成分があります。乳酸発酵でも増えるという研究があり、熱には比較的強い成分です。

どちらも、何日もかけて作ります。違うのは熱を加えるかどうかです。

黒にんにくは熱を加えて熟成させます。成分の量でいえば黒にんにくが断然多い。そこは比べものになりません。

ただ、その熱を加える工程で、すごい匂いが出ます。だから家庭では作りにくい。いいものなのですが自分で作ろうとすると、たいていそこでつまずきます。

そして料理にも使いにくい。にんにくの香りが変わりすぎるからです。料理に入れてもにんにくを使った味にはならず、パンチが出ない。だから生にんにくの代わりにはならないのです。

そのままおやつのように食べるなら、黒にんにく。

料理に使うなら、発酵にんにく。汗をかく仕事の方は、そのまま一粒。塩気もいっしょに摂れます。

どちらもいいものです。食べ方が違うだけです。

材料は塩と水とにんにくだけ

作り方は、驚くほど簡単です。

材料は3つ。塩と水とにんにく。それだけです。

難しいのは作り方ではなく見極め

ではなぜ教室をしているのか。

難しいのは作る手順ではありません。見極めです。

これは発酵しているのか、それとも傷んでいるのか。その境目が文字を読んだだけではわからないんです。発酵と腐敗は、見た目も匂いも慣れないうちは区別がつきません。

ここだけは一度その場で見て、教わってしまったほうが早い。

二週間ひとりで悩まなくていい

仕込んで終わり、ではありません。

使えるようになるまで2週間あります。その間に、たいてい不安になります。これでいいのか、傷んでいないか。

教室に来られた方は作ったものを持ってパンの営業日に寄られます。パンを買うついでに「これで大丈夫ですか」と見せていかれます。

うちで作る一番のいいところは、たぶんここです。

使い方はみんなが教えてくれます

もうひとつ私だけの力ではないところがあります。

教室に来られている方たちがいろんな使い方をされていて、それを惜しみなく共有してくださいます。私が思いつかない使い方が、毎回出てきます。

使い方がわからない方も、その場で聞けます。もちろん私からもお伝えします。実際に何年も使っている人の話は役立ちますよ。

難しいことはしません

私は忙しい人が手をかけずに発酵食を作れるようにという思いを大切にしています

手間のかかることや、難しいことはしません。

何年も続けて作りに来てくださる方が多いのは、たぶんそのおかげだと思っています。忙しい人ほど続けられるものでないと意味がないので。

作ったあとは発酵ランチ

にんにくを仕込んだあとは、みんなで発酵ランチを食べます。

私が作った発酵調味料で作った野菜料理と、自家製のへしこ、鮒ずし、奈良漬けなどの発酵保存食。それに自家製のディップを塗って、パンと合わせて食べます。

使う調味料は、自家製の発酵調味料と、昔ながらの調味料だけです。「〇〇の素」のようなものは使いません。

このランチが、けっこう好評です。ライ麦パンや米粉の食パンをどう食べたらいいかわからない、という方にもぴったりだと思います。思いもしない組み合わせで食べるライ麦パンが、おいしい。

家ではなかなか冒険ができません。でも教室なら、みんなで試せます。パンのほうに興味があって来られる方もどうぞ。

はじめての方へ

ほとんどの方が、お一人で来られます。

知らない人の輪に一人で入るのは緊張すると思いますが皆さんおひとり参加の方ばかりです。しばらくすると勝手に使い方の話で盛り上がってらして皆さん最初の不安をすぐに忘れて楽しんでおられます。

発酵調味料を使いこなせるか不安という方も心配いりません。そのために聞ける場所として、この教室があります。

発酵にんにく教室のこと

  • 場所 … えぷりーず(京都府宇治市木幡東中26-129)
  • 参加費 … 7,800円(にんにく500g・発酵ランチ付き)
  • にんにく追加 … 500gごとに1,000円
  • 持ち物 … エプロン、手拭きタオル、筆記用具
  • 作ったものは、当日お持ち帰りいただきます
  • 開始は10時から。終わりの時間は決めていません。ランチのときに話が盛り上がると、そのぶん長くなります

次回の開催日と空き状況は、インスタグラムでお知らせしています。

※ 参加費や内容は変わることがあります。ご予約・お問い合わせは公式LINE、インスタグラムのDMでどうぞ。

にんにくが台所にあると、なんとなく安心します。一年分、作りに来てください。

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