前回、友達の話を書きました。人間ドックでエクオールの検査を受けて、ほとんど作れていないと言われた話です。
そんなはずはない気がして、調べてみました。そしたら思っていたのと違うことがいくつも出てきました。
検査には測り方が2つあります
これを知って驚きました。
① 今の食生活でエクオールが作れているか
この検査では事前に大豆を食べる必要はありません。普段どおりの生活で測ります。
② 作る力があるかどうか(産生能)
この検査の時は、前日の夜に大豆製品を食べてから翌朝の尿を測ります。豆腐なら半丁、納豆なら1パック、豆乳ならコップ1杯くらい。
この2つは、測っているものが違います。
そしてややこしいのは結果の紙にはどっちで測ったかが書かれていないことです。判定は、どちらも同じ5段階で出ます。
だから、自分がどう受けたかを思い出すしかありません。前日に「大豆製品を食べてきてください」と言われたかどうか。言われていなければ、今の食生活を測っただけです。
大豆をあまり食べていない時期だったら当然出ません。

数字にも段階があります
検査は尿の中のエクオールの濃度で判定されます。5段階です。
| レベル | 意味 |
|---|---|
| 1 | 産生菌が、ほとんど活動していない |
| 2 | とても少ないけれど、存在する |
| 3 | 活動している(「作れる人」) |
| 4 | 理想的なレベル |
| 5 | さらに多い |
レベル3以上で「作れる人」。レベル4以上が理想とされています。
ちなみに、レベル5まで届く人は、検査を受けた人の4%ほどだそうです。レベル4で、じゅうぶん理想的ということですね。
そして——レベル2の説明を、もう一度見てください。
「とても少ないけれど、存在する」
菌は、いるんです。
※ 数字の出し方は、検査によって違うことがあります。%で出るものもあります。結果の紙に説明があるはずなので、そこを読んでみてください。
持っていなかったら、どうなるの?
当然、こう思いますよね。
まず、大事なことがあります。
尿の検査は、「菌がいるかどうか」を見ていません。見ているのは、尿にエクオールが出たかどうかです。
だからあの検査では、「あなたは菌を持っていません」とは判定されていないんです。
(本当に菌がいるかどうかを知りたければ、便の腸内フローラ検査という別の方法があります。自宅で採って送るサービスで、結果表に産生菌がいるかどうかが載るそうです)
そして、もうひとつ。
「作れる人」「作れない人」は、固定ではないようです。
498人を追いかけた研究がありました。
- いつも作れる人 … 約31%
- 作れたり、作れなかったりする人 … 約26%
- 作れない人 … 約43%
4人に1人は、行ったり来たりしています。
そして、いつも作れる人は、腸内細菌の多様性が明らかに高かったそうです。大豆を食べている量は、どのグループも同じだったのに。
研究も進んでいます
「作れない人を、作れるようにできないか」——これは、ちゃんと研究されています。
生きた菌(プロバイオティクス)と、そのエサ(プレバイオティクス)を組み合わせて産生を促す研究。動物の実験では、食事を変えることで産生能が変わることも示されています。
ただし「まったく作れなかった人が、食事で作れるようになる」と、人で証明されたわけではありません。そこはまだこれからです。

じゃあ、何が菌を起こすのか
そこも調べられていました。
産生菌が活動する要因として強く関わっていたのは、腸内細菌の多様性だそうです。
そして、エクオールを作れている人が実際によく食べていたものがこういう物です。
緑黄色野菜、淡色野菜、海藻、根菜、きのこ、納豆、穀物、油ののった魚。
食物繊維やたんぱく質を続けて摂る食生活が、産生能を高めたという報告もあります。逆に、抗生物質で腸内環境が乱れると、産生は妨げられるそうです。
さらに、腸内細菌の多様性を得るには、プレバイオティクスやプロバイオティクスを含む、バランスのよい食生活が関係しているとも書かれていました。
- プロバイオティクス … 乳酸菌などの、生きた菌。味噌、ぬか漬け、発酵食品
- プレバイオティクス … その菌のエサになるもの。水溶性食物繊維やオリゴ糖
——これを読んだとき、正直、少しうれしくなりました。
私はずっと、腸のことを大事だと言ってきました。それが、こんなところでつながるとは思っていませんでした。
特別なものは、ひとつもありません。
だから「作れない」で終わらなくていい
はっきりさせておきます。「食べれば作れるようになる」と証明されたわけではありません。
でも、こういうことは言えます。
- 検査で測ったのは、「今の食生活の結果」かもしれない
- 自分が菌を持っているかどうかは、あの検査では分からない
- 作れる/作れないは、行ったり来たりすることがある
- 安定して作れる人は、腸内細菌の多様性が高かった
- 多様性を作るのは、いろいろなものを食べること
「作れない人」と希望がない話ではないんです。
私はこう思っています
調べてもいいし、調べなくてもいいと思います。自宅でできる検査もあるので、気になる方はやってみてもいいでしょう。
でも私は、作れていると思って食べるもいいと思います。
作れているかどうかを気にするより、いろいろ食べるほうが早い気がするからです。それに、そこで食べているものは、エクオールが作れても作れなくても体にはよい作用を起こしてくれるはずの物です。損はありません。
次回は
じゃあ、その菌は何をしているのか。
そして——大豆だけではないんです。同じようなことが、ライ麦でも起きています。
次回は、その話を書きます。
この連載
- ① エストロゲンって、体で何をしているんだろう
- ② エクオールって、何だろう
- ③ 「作れない」と言われても(この記事)
- ④ 仕上げているのは、腸の菌
- ⑤ 知りたいと思ったときが、はじまり


