仕上げているのは腸の菌

前回までエクオールの話を書いてきました。

大豆イソフラボンを腸の中の細菌がエクオールに作り変えている。作っているのは自分の腸に住んでいる菌でした。

今日はその続きです。じつは大豆だけではありません。

同じことがライ麦でも起きています

ライ麦にはリグナンという成分が含まれています。これが腸の中でエンテロラクトンというものに変わります。

そしてこのエンテロラクトンも植物エストロゲンに分類されます。エクオールと同じ仲間です。

つまりこうなります。

大豆 → ダイゼイン → 腸内細菌 → エクオール
ライ麦 → リグナン → 腸内細菌 → エンテロラクトン

別の植物、別の成分。でも腸内細菌が変刺させるのは同じです。

ゴマにもありました

しかも、これを調べていて驚いたことがあります。

ゴマのリグナンの量は、亜麻仁より多いそうです。亜麻仁がいちばん豊富だと思われてきたけれど、ゴマのほうが上なんだそうです。

ゴマのセサミンも腸内細菌によってエンテロラクトンに変わります。ライ麦とまったく同じルートです。

ゴマ → セサミン → 腸内細菌 → エンテロラクトン

植物が用意するのは途中までです

3つ並べてみて、はっきりしたことがあります。

大豆にも、ライ麦にも、ゴマにも、完成品は入っていません。

入っているのはもとになるものだけ。それを最後まで持っていくのは腸に住んでいる菌の仕事です。

読んだ資料にこう書かれていました。

その働きは腸内細菌の代謝能力に大きく左右される

だから同じものを食べても、体の中で起きることが人によって違います。

——ずっと「腸は体をつくる場所」と言ってきましたが、こんなにはっきりした例があるとは思っていませんでした。

発酵はその途中を少し先まで進めてくれます

もうひとつ面白いことがありました。

大豆イソフラボンには2つの形があります。

  • 配糖体(糖がくっついた形)… 吸収されにくい
  • アグリコン型(糖が外れた形)… 吸収されやすい

そして——

味噌や納豆などの発酵させた大豆には、アグリコン型が多く含まれます。菌の酵素があらかじめ糖を外してくれているからです。

エクオールのもとになるダイゼインは、このアグリコン型です。

つまり発酵食品は腸の菌がやるはずだった一手間を、先にやってくれているということになります。

私が大豆をそのまま食べない理由

私は、大豆をそのまま食べることがあまりありません。

理由はそのまま食べるとお腹が張ることがあるからです。大豆にはオリゴ糖が含まれていて大腸で発酵します。これも発酵させると減ります。

だから私はできるだけ発酵させたものを摂るようにしてきました。

最近よく使うのは豆味噌先に大豆を豆麹にして、それをまた大豆と合わせて長いあいだ寝かせます。

手間はかかりますがその手間が、そのまま意味を持っていたことになります。

知らないうちに渡していました

私はそんな仕組みがあることを知りませんでした。ただ、そのほうがおいしいと思って作ってきただけです。

発酵の教室では、ずっとこういうものを作ってきました。

  • 米麹味噌
  • 豆麹味噌
  • 塩納豆
  • コチュジャン
  • ぬか床

並べてみて気づいたことがあります。

米麹味噌も、豆麹味噌も、塩納豆も、コチュジャンも、大豆です。材料を渡す側。

ぬか床は大豆ではありませんが、こちらには生きた乳酸菌が入っています。そして使用している糠はその餌になるんです。

——種と、土みたいなものだと思います。

どちらも要ります。前回書いた「プレバイオティクスとプロバイオティクス」の話はそういうことです。

私は腸内細菌の話が好きです。10年以上前からずっと言っています。

でも当時はあまり通じませんでした。「そんなに好き?」「やっぱり変わってるね」と笑われることのほうが多かったです。

(今でも変わってると言われます。それは否定しません笑)

でもそれが更年期の話とつながっているとは私自身も思っていませんでした。

ばらばらにやってきたことが一本の線になった気がしました。

何かが良くなると言いたいわけではありません。

ただつながっているとわかっただけで少し明るい気持ちになりました。

パンのほうも知らずに作っていました

つい先日、ライ麦ゴマ丸というパンを作りました。ゴマがたっぷり入ったライ麦の丸パンです。

作ったときはエクオールのことも、リグナンのことも何も知りませんでした。ただゴマが沢山入ったライ麦パンが食べたかっただけです。

あとから調べてライ麦とゴマが同じルートを持っていると知りました。

偶然ですが、こういう偶然はたぶん偶然ではないんだと思います。昔から食べられてきた組み合わせには、たいてい理由があるので。

ちなみにこのパンは同じ世代の方によく買っていただきました。

体が必要としているものを無意識に選んでいる——そう思います(言い切る根拠を私は持っていませんが)。

この世代はゴマの香りが好きなだけかもしれません。でもそれならそれでいいと思っています。

ただそうだったらいいなとは思っています。

今、こんなパンを作っています

大豆を乳酸発酵させて、ライ麦パンに入れる。そこにゴマも入れます。

つけるディップは、黒麹で作った豆麹から。

  • 大豆 … エクオールのもと
  • ライ麦 … エンテロラクトンのもと
  • ゴマ … エンテロラクトンのもと

この連載で書いてきたものが、全部入ることになります。

作っているのは私ですが、仕上げるのは食べた人の腸の菌です。

次回で、最後です

ここまで書いてきて思い出したことがあります。

「もともと強いんですね」と言われることについて。

次回はその話を書いて終わります。

この連載

通販でも買えます

そのほかのパンはオンラインショップからどうぞ。

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