貝原益軒という人がいます。江戸時代の学者で、84歳のときに『養生訓』という健康の本を書きました。
「腹八分目」という教えもこの本にあります。
でも私がこの人の話で好きなのそこではありません。
益軒は生まれつき体が弱い人で、若いころには大病もしています。
それなのに平均寿命が50歳に満たない時代に85歳まで生きられたのです。
もともと丈夫だったわけではないのに。

「もともと強いんでしょうね」
肌のことだったり、髪のことだったり、体のことだったりを時々そう言われることがあります。
その言葉を聞くたびに、少し引っ掛かる思いがありました。
たぶんその言葉は「だから私には無理」で終わってしまうから引っ掛かっていたのだと思います。
もちろん体質も、年齢もあります。同じことをしても同じにはならないのはその通りです。
ただ、ひとつだけ
何もしていないように見える人も、見えないところで何かをしてきたのかもしれません。
台所で何を作っているか。毎日何を食べているか。どれくらい前から続けているか。——そういうことは、外からは見えません。
見えないから「もともと」で片づけるしかない。
でも——「もともと」で片づけてしまうと、そこで終わってしまいます。
「あの人も何かしてるのかもしれない」と思えたら、そこから自分にもできることが出てきます。
同じ場面なのに次にやることが変わります。
そして、益軒の話に戻ります。
あの人は、もともと強かったから85歳まで生きたのではありません。
体が弱かったから、どうすればいいかを調べて試して書き残しました。
84歳で本を書いているなんてすごいことです。
——遅すぎるということはないんだと思います。

この連載で書いてきたのは
エストロゲンが体じゅうに指示を出していること。
それに似たものを腸の菌が作っていること。
「作れない」と出ても菌は眠っているだけかもしれないこと。
大豆も、ライ麦も、ゴマも、途中までしか用意していなくて、仕上げているのは自分の腸の菌だということ。
全部、外からは見えない話です。
尿の検査でも、菌がいるかどうかまでは分かりませんでした。腸の中で何が起きているかは、自分でも見えません。
でも見えないだけで何も起きていないわけではありません。
前回書いたこと
前回、私が10年以上「腸内細菌が好きだ」と言い続けて、「変わってるね」と笑われてきた話を書きました。
あれと、今日の話は、同じだと思います。
見えていない人には見えていない。見ようとした人には見える。
気持ちひとつなんだと思います。
最後に
作れているかどうかは私も調べていないのでわかりません。
でも今はまだわからないので作れていると思って食べようと思っています。
見えないところで何かが起きています。私の腸でも、あなたの腸でも。
エクオールから遠いことに思える豆味噌で料理することが実は近い話なのです。
大豆とゴマを使ったライ麦パンも完成させます。
この連載
- ① エストロゲンって、体で何をしているんだろう
- ② エクオールって、何だろう
- ③ 「作れない」と言われても
- ④ 仕上げているのは、腸の菌
- ⑤ 知りたいと思ったときが、はじまり(この記事)
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