前回エストロゲンの話を書きました。おさらいすると——
エストロゲンは、体じゅうに指示を届けている鍵でした。骨、血管、皮膚、自律神経。鍵穴は体じゅうにあります。
そして50代はその鍵が減っていく時期です。減るのは鍵だけで、鍵穴のほうは体じゅうに残ったまま。
今日はその続きです。
形の似た別の鍵
じつは、エストロゲンとよく似た形のものが、体の中で作られることがあります。
似た形なので同じ鍵穴に入ることができます。
それがエクオールです。
どこから来るのか
エクオールのもとは大豆です。
大豆にはイソフラボンという成分が入っています。その中のダイゼインというものが、エクオールのもとになります。
ただ、ここが大事なところです。

大豆の中に、エクオールは入っていません。
大豆を食べたあと、腸の中にいる細菌がダイゼインをエクオールに作り変えています。
大豆イソフラボン(ダイゼイン)→ 腸内細菌 → エクオール
作っているのは自分の腸に住んでいる菌です。
だから作れる人と作れない人がいます
ここが、この話のいちばん不思議なところだと思います。
同じ豆腐を食べてもエクオールが作られる人と、作られない人がいます。
その菌がいなければ、大豆をどれだけ食べても、エクオールにはなりません。
数字も出ています。
- 日本人は、およそ2人に1人が作れると言われています
- 欧米では、3人に1人ほど
大豆をよく食べる国のほうが多い、という事が指摘されています。

女性だけの話ではありません
ここまで女性の話として書いてきましたが、エクオールは男性の腸でも作られます。
作れる人の割合も、男女で大きくは変わりません。
そして前回書いたとおり、エストロゲンを受け取る鍵穴は、体じゅうにあります。骨も、血管も、男性にもあるので。
だから——大豆を食べる食卓は、家族みんなの話でもあります。
私は自分のために味噌を仕込んでいるつもりでしたが、そうでもなかったのかもしれません。
※ ここで書いているのは、豆腐や納豆、味噌といった普通の食べものの話です。イソフラボンを濃縮したサプリメントについては、長期に摂ったときの安全性がまだ確立していないという指摘があり、とくに妊娠中の方やお子さんについては慎重に、とされています。
この連載を書こうと思ったきっかけ
友達から連絡がありました。
人間ドックのオプションにエクオールの検査があって受けてみたそうです。
結果は、ほとんど作れていないというものでした。
「私、作れない人だったみたい」
——そう聞いて私も気になって調べ始めました。彼女が作れてないって本当?と疑問に思ったからです。
そうしたら思っていたのと違うことが、いくつも出てきました。
まず、あの検査には、測り方が2つあります。そしてどちらで測ったかで、結果の意味が変わります。
さらに——「作れない」と言われた人でも、菌がいないとは限らないということも分かりました。
次回は、その話を書きます。
この連載
- ① エストロゲンって、体で何をしているんだろう
- ② エクオールって、何だろう(この記事)
- ③ 「作れない」と言われても
- ④ 仕上げているのは、腸の菌
- ⑤ 知りたいと思ったときが、はじまり


