じゃあ、どのパンを選べばいいのか

グルテンの話を3回書いてきました。今回で最後です。

ここまでで分かったことを選び方に変えていきます。

まず3行のおさらい

  • グルテンは小麦のたんぱく質が水とこねる力でつながってできる網目のこと。粉の中には入っていません
  • その網目の強さは発酵の長さで変わります。時間をかけるほど、ゆるむ
  • 重さの原因は小麦とはかぎりません。油や、加工デンプンもあります

「重い」の犯人はひとつではありません

ここがこの連載でいちばん伝えたかったことかもしれません。

パンを食べて重いと感じた時、原因になりうるものは少なくとも3つあります。

  • グルテンの網 … ほどくのに手間がかかる
  • … 胃に留まる時間が延びる 油の質にもよる
  • フルクタン … 大腸で発酵してお腹が張る

この3つは、まったく別のものです。起きている場所も違います。

だから、「小麦をやめる」以外の道がいくつもあります。発酵の長いパンを選ぶ。油の少ないパンを選ぶ(油の質もみる)。ライ麦のパンを選ぶ。分けて考えられると、選べる幅が変わります。

見るところ① 大きさ

同じような菓子パンでも、お店によって大きさがずいぶん違います。

大きくふくらんでいるものほど、網目が強く張っています。小ぶりなものは、時間をかけている可能性があります。

(同じお店の中では、たいてい同じ作り方をしているので、比べるならお店をまたいで見てみてください)

見るところ② 原材料表示

名前は中身を教えてくれませんが、名前の数が少なければ隠れているものも少ない。

見るところ③ 聞いてみる

「これ、どれくらい発酵させていますか」

聞いていいんです。パン屋は、たいてい自分のパンの話を喜んでします。忙しくて手短になることはあっても、嫌がられることはまずありません。(お店のバタバタのタイミングはみてね)

うちでは、こう勧めています

参考までに、店頭でどう答えているかを書いておきます。

「小麦が気になる」という方が小麦の日に来られたら、ライ麦のパンをおすすめします。ライ麦には、そもそもグルテンの網ができません。

「ライ麦は食べたことがなくて不安」という方には、シンプルな材料の食パンを。いきなり不慣れなパンを選ぶ必要はないと思うので。

「初めてなんですけど」という方には、こんなふうに。

  • 甘いパンなら、今は冷やしコロネが人気です
  • ライ麦パンなら、シンプルなライ麦100がいちばん人気です
  • うちの定番の食パンは雑穀山です。茶色いですが硬いパンではなくて、焼くとサクサク香ばしいですよ

 

「健康にいいパンはどれですか」と聞かれることもあります。そんな時、私はライ麦と答えています。

ライ麦には、食物繊維がたくさん入っていて腹持ちもいいです。そして②で書いたとおり、ライ麦にはグルテンの網ができません。うちのものは乳酸発酵種で作っているので、ほどく作業がそもそも起きないパンです。

私がよそで買うとき

正直に言うと、パンは外ではほとんど買いません。

それでも買うとしたら、「天然酵母」「自家製酵母」と書いてあるお店です。

探して買いに行くときはドイツパンの専門店が多いです。そういうお店でライ麦の割合が高いパンを選びます。

——結局、この連載で書いてきたことと同じです。時間をかけたものと、網目のないもの。

でも、いちばん確かなのは自分の体です

同じパンでも、合う人と合わない人がいます。

だから、いろいろ食べてみて、自分の体がどう感じたかを覚えておいてください。それがいちばん確かな情報です。

無理してグルテンフリーにしなくていい

この連載で言いたかったのはこれです。

味が好きではないのに無理して変える必要はない

まずは選び方を変えてみて、自分の体の声を聞いてみればいい。グルテンをやめなくても、それだけでずいぶん変わります。

避けるのではなく、選ぶ。まず何なのかを知り、食べて体の声を聞く。

最後にひとつだけ

数年前、国産のライ麦が買えなくなるかもしれないということがありました。

売れないから作る農家さんがやめていく。「これまで続けて買ってくださっているところ以外には、もう出せません」と言われました。この先も買えるかどうかわからない、とも。

海外のものに切り替えるしかないのかと本当に困りました。今は国産のライ麦が手に入っていますが、あのときのことは忘れられません。

小麦も、ライ麦も、誰かが汗を流して作っています。

体に合わない方が食べないという選択をするのは当然のことです。

ただ、「小麦は悪い」という一言の先には育てている人がいます。そして、粉を挽く人がいて、焼いている人がいます。私も、そのひとりです。

だからまずは何を避けているのかを知ってほしい。

良いか悪いかの前に、まずそれが何なのか知る必要があると思っています。

※ 体質でお医者さんから小麦を止められている方(セリアック病や小麦アレルギー)には、この連載は当てはまりません。その場合はお医者さんの言うことが一番です。

グルテンの連載

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